社会3年 公民(憲法)

 基本的人権
 [要点-基本的人権(平等権など)]

①人権保障の基本は「個人の尊重」の原理で、「法の下の平等」とも深く関係しています。
国連は子どもの基本的権利や自由を尊重する目的で、子どもの権利条約を採択しました。

②憲法は14条で「すべて国民は法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、
政治的、社会的関係において差別されない。」と定めています。

③1965年、同和対策審議会は部落差別をなくすことは国の責務であり、
国民の課題であると宣言しました。
また、アイヌの人たちの民族としての誇りが尊重される社会の実現をはかるため、
1997年にアイヌ文化振興法が成立しました。

④1985年には、採用や仕事の内容の上で、
男女を差別なく扱うことなどを定めた男女雇用機会均等法が制定され、
さらに1999年に、性別にかかわらずその個性と能力が発揮される社会をめざし、
男女共同参画社会基本法が作られました。

⑤すべての人が区別されることなく、
社会の中で普通の生活を送れることをノーマライゼーションといいます。
障がいのある人やお年寄りに対し、身体的、精神的、社会的な障壁を取り除こうという
バリアフリーの考え方が大切です。
 基本的人権と個人の尊重

【基本的人権】人間が人間として当然持っている基本的な権利。
自由権、平等権、参政権、社会権などがある。

 

①憲法第11条:
国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。
この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、
現在及び将来の国民に与へられる。

②憲法第12条:
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、
これを保持しなければならない。
又、国民は、これを濫用してはならないのであって、
常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う。

③憲法第13条:
すべて国民は、個人として尊重される。
生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、
公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

④憲法第14条1項:
すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、
政治的、経済的、又は社会的関係において、差別されない。
 基本的人権の分類

 

①基本的人権を大きく4つに分けると、

・
平等権(人種、信条、性別、身分などによって差別されない権利)、
・
自由権(身体の自由、精神の自由、経済の自由)、
・
社会権(生存権、教育を受ける権利、勤労の権利、労働基本権)、
・
基本的人権を守るための権利(参政権、請願権、裁判を受ける権利など) 。

②このうち、平等権と自由権は、フランス革命当時から認められている人権の基盤となる人権です。
社会権は、第一次世界大戦後のドイツのワイマール憲法において、はじめて認められた権利です。
 [要点-基本的人権(自由権)]

【自由権】個人が他者からの干渉を受けずに自分の意思で行動する権利を指します。
日本国憲法において、自由権は非常に重要な位置を占めており、
以下のような具体的な権利があります。

①精神の自由:
思想・良心の自由(第19条):
自分の考え方や信念を持ち、それを他者に強制されずに表明できる権利。
信教の自由(第20条):
自由に宗教を選び、信仰し、または信仰しない権利。
表現の自由(第21条):
言論、出版、集会、結社などで自分の意見を発信できる権利。

②身体の自由:
奴隷的拘束及び苦役からの自由(第18条):
誰もが不当な拘束や強制労働を受けない権利。
法的手続きの保障(第31条):
逮捕や裁判などの際に正当な手続きを受ける権利。

③経済活動の自由:
居住・移転及び職業選択の自由(第22条):
自分の住む場所や職業を自由に選ぶことができる権利。
財産権の保障(第29条):
自分の持っている財産を不当に侵害されない権利。
 平等権
 
【平等権】すべての人間が等しく扱われることを保障する権利。
【法の下の平等】すべての国民が法の下に平等であり、人種や信条、性別や生まれなどによって、
生きていく上で差別されないということ。

 

(1)平等権:
すべての人が公平に扱われ、差別されない権利を指します。
日本国憲法では、平等権は非常に重要な理念として位置付けられています。

以下は平等権に関連する主要な内容です。
①法の下の平等(第14条):
内容:
すべての国民は、法の下に平等であり、人種、信条、性別、社会的身分又は門地によって
差別されないとされています。
重要性: これは、法律がどのような人に対しても公平に適用されるべきであることを示しており、
社会における差別を無くすための基本的な方針を定めています。

②参政権の平等:
内容:
公職選挙法により、選挙においてすべての成人国民に平等な投票権が保障されています。
これにより、政治に参加する権利が平等に与えられています。

③男女平等:
内容: 特に性別による差別を無くし、男女が対等に社会で活躍できるようにすることが求められています。
これは、就業機会や賃金の平等などにも関わっています。

日本では、この平等権を実現するために、各種の法律や政策が整備され、
人権の尊重に基づく社会の形成を目指しています。
 部落差別
 
【部落差別】被差別部落の出身者に対する差別。

 

①江戸時代のえた、ひにんという差別された身分は、明治になって法律では廃止されましたが、
その後も、就職、教育、結婚などでの部落差別は続きました。

②大正時代の1922年には、部落差別からの解放や権利・自由獲得をめざして
全国水平社が結成されました。

③1965年の同和対策審議会の答申は、差別をなくすことは国の責務であり、
国民の課題としました。
 朝鮮人差別
 
【在日韓国・朝鮮人】日本に定住している韓国人や朝鮮人。
【ヘイトスピーチ】ある特定の団体や個人、民族や人種に対して行われる差別的な発言や行動。

 

①現在、日本には多くの在日韓国・朝鮮人が居住しています。
その多くは、1910年の日本の韓国併合によって、移住・強制連行された人々の子孫です。

②現在においても、これらの在日韓国・朝鮮人に対する差別は根強く残っています。

③こうした差別は、個人の尊厳と自由・平等の基本的人権にかかわる問題として、
早く無くさなくてはいけません。
 アイヌ民族への差別
 
【アイヌ文化振興法】アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律。

 

①アイヌ民族は古くから、北海道、サハリン、千島列島を居住地とし、
独自の言葉と文化を持ち歴史を築いてきました。

②しかし、明治政府はアイヌ民族に「日本人化」(同化)を強制しました。
この中で、アイヌ民族への差別と偏見が強められていきました。

③これに対し、1997年に、アイヌの人たちの民族としての誇りが尊重される社会をつくることを目的として
アイヌ文化振興法が制定されました。
 男女雇用機会均等法

【女子差別撤廃条約】女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約。
【男女雇用機会均等法】雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律。
【セクシャル・ハラスメント】職場などでおきる、相手の意思に反した性的ないやがらせ。

 

(1)男女雇用機会均等法:
日本における労働市場において、男女が平等な機会を得られるようにするための法律です。
1985年に制定され、1986年に施行されました。この法律の主な目的は、
職場における男女の平等を促進し、性別に基づく差別をなくすことです。

この法律の主要なポイントは以下の通りです。
①採用と昇進の機会均等:
企業は採用や昇進において性別による差別をしてはなりません。
これは、男性か女性かによって不平等な扱いを受けないようにするためです。

②職場環境の整備:
働く環境において、性別に関係なく快適に働けるよう、企業は職場環境を整える必要があります。

③セクハラ防止:
セクシュアルハラスメント(セクハラ)を防止するための取り組みが企業に求められています。
企業はセクハラが発生しないように対策を講じる義務があります。

④育児休業や介護休業の促進:
女性だけでなく男性も育児休業や介護休業を取りやすくするための施策が進められています。
 男女共同参画社会

【男女共同参画社会】男性と女性がたがいに人権を尊重しあい、責任を分けあって対等な立場で能力をいかすことができる社会のこと。

 

(1)男女共同参画社会:
男女が対等に社会の様々な活動に参加し、責任を分かち合い、利益を享受できる社会のことを指します。
これは、性別に関係なく誰もが自分の能力や適性に応じて活躍できる社会を目指すものであり、
日本では「男女共同参画社会基本法」が1999年に施行され、
この理念を実現するための基本的な枠組みが示されました。

男女共同参画社会の実現に向けた主なポイントは以下の通りです:
①対等な参画:
男女が政治、経済、文化、家庭などあらゆる分野で対等に参画できるようにすることが求められます。

②仕事と家庭の両立支援:
働きながら家庭生活も充実させることができるよう、
育児や介護のための制度を充実させることが重要です。
たとえば、育児休業制度の利用促進や、介護休業制度の拡充などがあります。

③固定的な性別役割分担の解消:
「男は仕事、女は家庭」といった固定的な役割分担の意識を見直し、
多様な生き方を尊重する社会を作り出すことが求められます。

④男女間の暴力の根絶:
DV(ドメスティック・バイオレンス)や性暴力といった男女間の暴力を根絶するための施策が重要です。

⑤社会制度や慣行の見直し:
社会の中で男女の平等を実現するために、不合理な制度や慣行を見直し、改善することが必要です。
男女共同参画社会は、単に女性の権利を高めるというだけではなく、
男性のライフスタイルの変化も含め、より豊かな社会を目指すものです。
 働く女性の割合

 

 

①図から30歳代の女性の働いている割合が落ちているのがわかります。
これは、育児のために仕事をやめるためと考えられます。

②40歳前後から割合が再び増加していますが、
子どもがある程度大きくなって育児の手間がかからなくなったころ、
今度は教育費などがかかるようになって、パート等の形で再び職につくためと考えられます。

③このように、子供が生まれると仕事をやめ、子どもがある程度大きくなると再び職に就くため、
働く女性の割合のグラフはM字型になります。

④結婚して子どもが生まれても仕事を続けたいと願っても、
それを可能にする社会基盤(保育所など)が十分でなければ、仕事を続けることはできません。
 バリアフリー

【バリアフリー】障害者や高齢者などが安全・快適に暮らせるように、
生活する上で障害となるものがない社会をつくろうという考え。
【ユニバーサルデザイン】年齢や障がいの有無にかかわらず、
すべての人が使いやすいようにつくられたデザイン。

 

①高齢者や障害のある人たちが、社会で安全・快適に生活していけるよう、
身体的、精神的、社会的なバリア(障壁)を取り除こうという考え方を
バリアフリーといいます。

②例えば、道路の段差をなくしたり、階段にかわるスロープをつくったり、
エレベーターの行き先階ボタンを車いすを利用する人の使いやすい高さにあわせたりする、
車いすで乗降できる路面電車やバスを運行させるなどです。
 [要点-基本的人権(社会権など)]

【社会権】すべての人が人間らしい生活を送るために必要な、生活の基礎を保障する4つの権利。

①社会権を初めて明記したのは第一次大戦後のドイツのワイマール憲法です。
日本国憲法では、
・「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」(25条)という生存権、
・ 教育を受ける権利、
・ 勤労の権利、
・ 労働基本権の4つの社会権を保障しています。

②労働基本権を保障するため、労働基準法、労働組合法、労働関係調整法の労働三法が定められています。
労働組合法では、労働者の地位を高めるために、
団結権(組合を作る権利)、団体交渉権(労働条件について交渉する権利)、
団体行動権(争議権)を保障しており、これらを労働三権といいます。
 社会権-生存権

【生存権】社会権のうち、もっとも基本となる人間らしい生活を営む権利。
【生活保護法】病気や失業などにより生活に困っている国民に対し、
国が必要に応じて最低限度の生活を保障しながら、自立をすすめていこうとする法律。
【医療保険】医療機関の受診により発生した入院費や手術費といった医療費について、
その一部又は全部を保険者が給付する仕組みの保険。

 

(1)生存権:
日本国憲法第25条で保障されている重要な人権の一つであり、
すべての国民が「健康で文化的な最低限度の生活」を営む権利を有することを規定しています。
これは、人間らしい生活を送るために必要な基本的条件を国が保障するという理念に基づいています。

日本国憲法第25条の内容は以下の通りです。
①第1項:
「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」

②第2項:
「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」
これらの規定からわかるように、生存権は以下のような内容を含んでいます:

③健康で文化的な最低限度の生活:
これは、単に生きていくためだけではなく、人間らしい生活を送るために必要な基準を示しています。
具体的には、食糧、住居、衣服、医療、教育などがこの基準に含まれます。

(2)国の責務:
①国は生存権を確保するために、社会福祉制度や社会保障制度を整備し、
公衆衛生の向上に努める義務があります。
②これには、生活保護、年金制度、医療保険、公共住宅の提供などが含まれます。

生存権は、福祉国家としての日本の基本的な考え方を支えるものであり、
国民が人間らしい生活を享受できるよう、法律や制度を通じて具体化されています。
 労働基本権

【勤労の権利】働く意思があり、その能力のある人が、国に対して労働の機会を求めることができる権利。
【労働三権】勤労の権利を守るために定められている権利。

 

 

(1)労働基本権:
働く人々がその生活と権利を守るために持っている基本的な権利の集合体で、
日本国憲法において保障されています。

労働基本権には主に次の三つがあります。
①団結権:
団結権とは、労働者が労働組合を結成し、団結して活動する権利です。
労働組合を結成することにより、
労働者は団体交渉を通して労働条件の改善を労働者側として強く交渉できるようになります。

②団体交渉権:
団体交渉権とは、労働者が労働組合を通じて使用者(会社や経営者)と
労働条件について交渉する権利です。
この権利によって労働者は賃金や労働時間、労働環境などについて話し合うことができ、
より良い条件を獲得するための手段となります。

③団体行動権(争議権):
団体行動権(争議権)とは、労働者が交渉がうまくいかない場合に、
ストライキなどの団体行動を行う権利です。
これは、労働条件の改善を求めて集団で行動を起こすことで、
使用者に対して要求を認めさせるための重要な手段です。

(2)日本国憲法第28条:
これらの権利を明文化しており、労働者の基本的な人権として保障されています。
これらの労働基本権は、労働者が公正で人間らしい労働条件のもとで働くことを
可能にするための基盤となっています。

労働基本権の保障により、労働者はその生活を安定させ、
働くことで得られる権利や利益を守ることができます。
 教育を受ける権利

【教育を受ける権利】この権利を保障するために、教育基本法で教育目的を示し、義務教育の期間の費用は無償であると定めている。

 

(1)教育を受ける権利:
日本国憲法や子どもの権利条約に基づく基本的人権の一つです。

以下にそのポイントを説明します。
①日本国憲法と教育の権利:
日本国憲法第26条には、すべての国民がその能力に応じて、教育を受ける権利を有するとされています。
また、法律の定めるところにより、義務教育はこれを無償とする、と規定されています。
これにより、すべての子どもが平等に教育を受ける機会を持つことが保証されています。

②義務教育:
日本では、小学校から中学校までの9年間が義務教育となっています。
この期間の教育は無償で提供され、すべての子どもが学校に通うことができます。

③子どもの権利条約:
国際連合が採択した子どもの権利条約も、教育を受ける権利を含んでいます。
この条約では、教育が子どもの人格、才能、精神的および身体的な能力を
最大限に発達させるものであるべきとしています。

④教育の重要性:
教育は、子どもたちが社会で自立し、積極的に参加するための基礎を築く重要な要素です。
知識や技能の習得だけでなく、倫理観や社会的なスキルを学ぶ場でもあります。

⑤機会の平等:
教育を受ける権利は、経済的、社会的な事情にかかわらず、すべての人に等しく与えられるべきです。
これが実現されることで、将来の職業選択や社会参加の機会が確保され、
多様性と公平性のある社会が構築されます。
 [要点-人権を守るための権利]

①選挙権(国会議員などを選ぶ権利)、被選挙権(代表者として選挙で選ばれる権利)、
憲法改正の国民投票権、最高裁判所裁判官の国民審査権、
国や地方公共団体の機関に要望をする請願権をまとめて参政権といいます。

②請求権としては、公正な裁判を受ける権利、行政機関の不法行為に対する国家賠償請求権、
刑事裁判で無罪になったときの刑事補償請求権などがあります。
 人権を守るための権利-参政権

【参政権】国民が政治に参加する権利。
【選挙権】国会議員のような代表者などを選出する権利。
【被選挙権】選挙に立候補することができる権利。
【国民投票権】国会が憲法改正の発議をしたときに、国民が改正に賛成・反対の投票をする権利。
【国民審査権】最高裁判所裁判官に対して国民が投票で審査を行う権利。
【住民投票】住民のうち一定の資格を持つ人が立法や公職の罷免等について意思を明らかにするため行われる投票。

 

①人権を守るための権利としては、まず参政権(国民が政治に参加する権利)があげられます。
人権が不当な政治の力によっておかされないようにするためには、
参政権が認められて、政治が国民によって行われることが必要です。

②参政権のうち、国民が代表を選ぶ権利を選挙権、
代表者として国民に選ばれる権利を被選挙権といいます。

③そのほかに、憲法改正の国民投票、最高裁判所裁判官の国民審査、
特別法の住民投票なども参政権の1つです。
 女性の参政権

①わが国で最初に議会政治が行われた明治時代、1890年に行われた第1回衆議院選挙では、
選挙権は直接国税15円以上を納める25歳以上の男子に限られていました。

②大正時代の1925年、普通選挙法が成立し、
選挙権は25歳以上のすべての男子に与えられ、納税額による選挙資格の制限が撤廃されました。

③戦後の1945年に選挙法が改正され、
20歳以上のすべての男女に選挙権が与えられ、初めて婦人参政権が認められました。
これによって完全な普通選挙が実現しました。
 請求権

【請求権】国や地方公共団体に対して、基本的人権が侵害されたときに救済などを求める権利。

 

(1)請求権:
個人が国家や他者に対して特定の要求をする権利のことを指し、日本国憲法によって保障されています。
請求権は、基本的人権を守るための重要な手段として設けられています。

以下に、請求権の主な内容を説明します。
①裁判を受ける権利(裁判請求権):
日本国憲法第32条には、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪われない。」と規定されています。
これは、個人が権利を侵害されたときに、裁判所に訴えてその権利の回復を求めることができる権利です。
司法権によって法的な問題が公正に解決されるための重要な権利です。

②国家賠償請求権:
日本国憲法第17条では、公務員の不法行為によって損害を受けた場合に、
賠償を求めることができるとされています。
これは、国や地方公共団体に対して損害賠償を請求できる権利であり、
公務員の職務行為によって不当な被害を受けた場合に、被害者が正当な救済を受ける手段を提供しています。

③損害賠償請求権:
個人間の問題においても、他者の不法行為により損害を受けた場合には、
この損害の賠償を求めることができます。
この請求権は民法により詳細に規定されており、
被害者が被った損害を金銭で補填してもらうことができる権利です。

④刑事補償請求権:
日本国憲法第40条では、刑事事件において無罪の判決を受けた者が拘束されていた期間について、
国に対して補償を請求する権利が保障されています。
これは、誤った拘束から被害を受けた人の権利を救済するための制度です。

請求権は、個人の権利が侵害された際にそれを回復し、
被害を受けた場合に公正な補償を受けるための重要な手段を提供します。
 人権を守るための権利総合

【参政権】国民が政治に参加する権利。
【請求権】国や地方公共団体に対して、基本的人権が侵害されたときに救済などを求める権利。

 

①人権を守るための権利としては、参政権と請求権があります。

②参政権には、選挙権、被選挙権、憲法改正の国民投票、
最高裁判所裁判官の国民審査、住民投票があります。

③請求権は、実際に人権が侵害されたときに、救済を求める権利です。
請願権、裁判を受ける権利、国家賠償請求権、刑事補償請求権があります。
 新しい人権-環境権

【環境権】生活するうえで良好な環境を求める権利。
【環境影響評価(環境アセスメント)】発電所やダム、高速道路などの大規模な開発をするとき、
開発によって周囲の環境にどのような影響をおよぼすかを事前に調査・評価すること。

 

(1)環境基本法:
日本の環境保護に関する基本的な法律で、環境の保全と持続可能な発展を図るための枠組みを提供しています。
1993年に制定され、この法律によって日本における環境政策の基本的な方針が示されています。

主な内容としては以下のような点があります:
①目的:
環境基本法は、環境の保全と良好な環境の形成を通じて、人類の健康で文化的な生活を確保し、
環境と経済の調和を図ることを目的としています。

②基本原則:
環境の保全と経済の調和
予防的な対応と事前の公害防止
分権的な環境保全の推進

(2)国、地方公共団体および国民の役割:
①国は基本政策を策定し、地方公共団体は地域ごとの施策を実施します。
②国民も環境の保全に協力し、資源の持続可能な利用を意識することが求められます。

(3)環境の保全のための施策:
①各種公害の防止対策や自然環境の保護、生物多様性の確保などが具体的な施策として挙げられます。
 知る権利

【知る権利】主権者である国民が、正確な情報を得たうえで政治に参加できるように、
国・地方公共団体などがもっている情報の公開を求める権利。

 

(1)知る権利:
①意義:
知る権利は、民主主義の基盤として国民が重要な情報を得て、
政治や行政に関する理解を深めるために不可欠です。
この権利が保障されることで、国民は政府の活動を監視し、
政府に対して意見を述べることが容易になります。

②情報公開制度:
日本では、知る権利を実現するために「情報公開法」が制定されています。
この法律に基づいて、国民は国や地方自治体に対して公文書の開示を請求できるようになっています。
情報公開制度により、行政の透明性が向上し、政府の説明責任が強化されます。

③メディアの役割:
新聞やテレビ、インターネットメディアなども知る権利の実現に寄与しています。
メディアは情報を収集し、市民に報道することで、社会の問題点を明らかにし、公共の利益に貢献します。

(2)制限と課題:
①知る権利には限界があり、たとえば国家機密や個人のプライバシーなど、
公開すべきでない情報も存在します。
このため、どの情報が公開可能かについては慎重な判断が求められます。

知る権利は、情報化社会が進む現代においてますます重要な役割を果たしています。
 プライバシーの権利

【プライバシーの権利】個人の私的な生活をほかの人に勝手に公開されない権利。
【個人情報保護法】個人のプライバシーを守るため、
個人情報が外部にもらされたり悪用されたりすることを防ぐ法律。

 

①新聞やテレビの犯罪報道や行き過ぎた社会記事は、
個人の知られたくない秘密をあばくことがあります。

②また、個人の情報が本人の知らない間に勝手に利用されることも多くなっています。

③そこで、個人の私的な生活を他人の干渉から守るプライバシーの権利が登場しました。

④2002年には、国・地方公共団体や民間の情報管理者が
個人情報を慎重に管理することを目的として、個人情報保護法が制定されました。
 自己決定権

【自己決定権】個人が自分の人生や生活について、自由に自分で決定する権利。
【インフォームド・コンセント】医師と患者との十分な情報を得た上での合意」を意味する考え方。
【臓器移植】事故や重い病気にかかって機能しなくなった心臓などの臓器を、健康な臓器と交換すること。

 

 

(1)自己決定権:
「自分自身の人生や活動に関することを自分で決める権利」のことです。
これは、自分の価値観や考えに基づいて自分の行動や選択をする自由を持っている、という権利です。

①例えば、進学する学校を選ぶことや職業を決めること、
あるいは健康に関する選択をすること(例えば医療の受け入れや拒否)など、
生活のさまざまな場面でこの権利が関わってきます。

②自己決定権は基本的人権の一部であり、その重要性は特に強調されています。
なぜなら、自分の人生に関する決定を自分で行うことができるというのは、
人間としての尊厳を守るために非常に重要だからです。

③なお、自己決定権には責任も伴います。
選択する自由がある一方で、
その選択の結果については自分自身が責任を持つ必要があります。

④また、未成年の場合には、その判断力がまだ十分に発達していないとみなされることが多いため、
親や保護者がその決定をサポートしたり、一定の制約が設けられたりすることもあります。
 [要点-新しい人権]

①高度経済成長期の公害問題に対し、人間らしい生活環境を求める権利として環境権が提唱され、
1993年には環境基本法が制定されました。
また、大規模な開発にあたっては環境アセスメントが義務づけられています。

②個人が自分の生き方や生活のしかたについて自由に決定する権利は、自己決定権とよばれます。
患者が医師から十分な情報を得た上で治療方法などを決定するインフォームド・コンセントや、
臓器移植カードは自己決定権を尊重するものです。

③国民が主権者として政治に参加するためには、
行政機関の持つさまざまな情報を手に入れることが必要です。
そこで、知る権利がとなえられ、多くの地方公共団体で情報公開制度が設けられてきました。
1999年には情報公開法が制定されました。

④個人の私生活や情報を他人の干渉から守る権利をプライバシーの権利といいます。
2003年に個人情報保護法が制定されました。
 新しい人権総合

【世界人権宣言】世界に向けて基本的人権と自由の保障を示した宣言。

 
 [要点-公共の福祉・国民の義務]

①人権は、他の人々の人権との関係で制限されることがあります。
人権と人権との対立を調整するための原理を公共の福祉といいます。

②日本国憲法に定められた国民の三大義務は、勤労の義務、
子どもに普通教育を受けさせる義務、納税の義務です。
このうち、子どもに普通教育を受けさせる義務、勤労の義務の2つは、
義務であると同時に権利でもあります。
 公共の福祉の条文と根拠

【公共の福祉】「社会全体の共通の利益」であり、「ほかの人の人権との衝突を調整するための原理」。

 

(1)公共の福祉:
①「社会全体の利益や幸福を考えて、個人の権利や自由を制限することがある」という考え方です。
これは、憲法や法律の中で非常に重要な役割を果たしており、個人の自由を保障するとともに、
その自由が他の人々や社会全体に悪影響を及ぼさないように調整するために用いられます。

②例えば、他人に迷惑をかける行為や公共の安全を脅かす行動は制限されます。
具体的には、工場が公害を出さないように規制されることや、
交通ルールによって安全が保たれていることなどが挙げられます。

③公共の福祉は、個人の権利と社会全体の利益のバランスを保つために存在します。
つまり、個人が自身の自由を追求する際に、
それが他の人々の権利や社会の全体利益にどのように影響するかを考える必要があるということです。

④また、公共の福祉の考え方は、社会が秩序を保ち、みんなが安心して暮らせるための基盤とも言えます。
 公共の福祉で制限される人権

①本来どこに住もうが、どこに移転しようが、自由である(居住)・移転の自由・経済的自由権の1つです。

②しかし、伝染病にかかった人を自由にさせておくと、
他人の健康や生命を危険にさらすことになるので、病棟に隔離することになります。

③このとき、居住・移転の自由は公共の福祉の原理によって制限されます。
 [要点-グローバル社会と人権]

①1948年、人権尊重を国際的に確立するための世界人権宣言が国連の総会で採択されました。
しかし、これは条約でないため、法的な拘束力はありませんでした。
そこで1966年に条約のかたちで加盟国を拘束することのできる国際人権規約が採択されました。

②1965年に人種差別撤廃条約、1979年に女子差別撤廃条約、2006年に障害者権利条約が締結されました。
2006年には、国連加盟国の人権保障の状況について調査し、
必要な勧告を行うために国連人権理事会が設置されました。
また、2007年に「先住民族の権利に関する国連宣言」が採択されました。

③国際的な人権保障を実現するために、国境を越えて活動する非営利の民間組織であるNGOの活動も注目されます。
紛争地や被災地などに医師を派遣している国境なき医師団はその一例です。
 国際社会と人権

【世界人権宣言】世界に向けて基本的人権と自由の保障を示した宣言。
【国際人権規約】基本的人権を国際的に保護するための条約。
【女子差別撤廃条約】男女の完全な平等の達成に貢献することを目的として、
女子に対するあらゆる差別を撤廃する条約。

 

①国連で1948年に世界人権宣言が採択されたが、
条約でないため法的な拘束力はありませんでした。

②そこで1966年に条約のかたちで加盟国を拘束することのできる国際人権規約が採択され、
日本も1979年に加入しました。

③1979年に女子差別撤廃条約が国連総会で採択されました。
これは、あらゆる分野での女子に対する差別をなくすための条約です。

④日本はこれを受けて1985年に男女雇用機会均等法を制定しました。
 アムネスティ・インターナショナル

【アムネスティ・インターナショナル】すべての人の人権が守られる社会をめざす国際的な人権団体。

①アムネスティ・インターナショナルは1961年に生まれた国際的組織で、
死刑制度廃止、政治犯の釈放や拷問禁止などを求める運動を展開しています。

②世界160か国に220万人以上の会員を持ち、世界最大の人権擁護の非政府組織(NGO)です。

③政治・宗教・文化活動がもとで、不当に逮捕・拘置された活動家のために、
その政府あてに釈放を求める手紙を書く運動を続けています。
また、人権侵害の実態をマスコミや国際機関に発表するなどして、
その救済を世界の人々に訴えています。
 子どもの権利条約

【子どもの権利条約】子どもが一人の人間として基本的人権を所有し、行使する権利を保障するための条約。

 

(1)子どもの権利条約(子どもの権利に関する条約):
子どもの人権を保障するために国際連合(国連)が1989年に採択した条約です。
この条約は世界中の子どもたちが安全で健全な生活を送るための基本的な権利を定めています。
日本は1994年にこの条約を批准しました。

この条約の主な内容は以下の4つの柱にまとめられます:
①生存の権利:
子どもが生きるために必要な基本的な生活条件を確保することを目的としています。
食料、水、衛生、住まい、医療が含まれます。

②発達の権利:
教育を受け、遊び、文化活動に参加し、心身ともに健全な成長をする権利です。
また、情報を得る権利や、自分の意見を言う権利も含まれます。

③保護の権利:
すべての形態の虐待、搾取、危険から子どもたちを守ることを目的としています。
例えば、児童労働、性的虐待、人身売買などからの保護が含まれます。

④参加の権利:
子どもが自分の意見を述べ、それが尊重される権利を持つことを認めています。
家庭や学校、地域社会での決定に参加する権利が含まれます。

このような権利を保障することで、子どもたちが持っている潜在能力を最大限に発揮できるよう、
各国が子どもの権利を尊重し、促進することを求めています。
 [要点-基本的人権の分類]

基本的人権を分類すると、
①自由権(個人が自分の意志で行動し、他から束縛されない権利)、
②平等権(人種、信条、性別、身分などによって差別されない権利)、
③社会権(人間らしい生活をするために保障された権利)、
④基本的人権を守るための権利(参政権、請求権など)となる。
 基本的人権総合

 

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