社会3年 公民(経済)

 企業・労働
 [要点-企業]

①企業が資本という元手を使って生産活動を行うのが資本主義経済です。
多くの企業は利潤を目的にした私企業ですが、
地方公営企業など利潤を目的にしない公企業もあります。
私企業は、さらに農家や個人商店などの個人企業と、
会社の形式をとる法人企業とに分けられます。

②法人企業のなかでも代表的なものが株式会社です。
企業を営むには多額の資金が必要ですが、株式会社ではこれを多数の株式に分けて集めています。
資金を出した者は株主とよばれ、その出資額に応じて配当を受け取り、
また株主総会に出席する権利を持ちます。
株主は出資額の範囲で責任を負います。
株式は証券取引所で売買され、企業の業績などによって株価が上がったり下がったりします。

③日本の企業数の99%は中小企業です。
中小企業の中には、独自の技術などをもとに新たな事業を起こすベンチャー企業もあります。
大企業の中には、海外に現地籍の会社を持ち、世界的規模で活動する多国籍企業もあります。
今日の企業は、利潤を追求するだけでなく、人々の生活を向上させる活動をすることも求められています。
これを企業の社会的責任といいます。
 資本主義経済と企業-資本主義経済

【企業】家計、政府とともに経済主体の1つ。おもに生産を担う。
【資本主義経済】企業などが資本を元手に、利潤の追求を目的として生産活動を行う経済。
【社会主義経済】生産手段を国家など統制組織が所有し、
生産や流通を統制組織が指導する計画経済が行われている経済。

 

①わたしたちの経済は、資本主義経済とよばれています。

②資本主義経済とは、企業が資本を使って利潤を得ることを目的として、
生産活動を行う経済の仕組みのことです。
 私企業と公企業

【私企業】営利追求を目的とし、民間人が出資・経営する企業。
【公企業】国または公共団体が、社会公共の利益を目的として自ら経営する事業およびその事業体。

 

(1)私企業:
①私企業とは、民間の資本によって運営されている企業のことです。
目的は主に利益を上げることにあり、個人や民間の法人が資本を出し合って設立・運営します。
私企業は自由競争の原理に基づき、消費者のニーズに応える製品やサービスを提供するために活動します。

②私企業には以下のような形態があります。
個人企業: 個人が資本を出して運営する企業。
法人企業: 株式会社や有限会社などの法人格を持つ企業。株主や出資者がリスクに応じて利益を受け取る。

(2)公企業:
①公企業とは、国や地方公共団体が出資・運営している企業のことです。
利益だけでなく、公共の利益や社会の安定を目的としています。
主に公共サービス(例えば、交通、郵便、上下水道など)を提供する役割を果たします。

②公企業には以下のような形態があります。
国営企業: 国が所有し運営する企業。たとえば、日本郵政グループなど。
地方公営企業: 地方公共団体が所有・運営する企業。たとえば、水道局や市営交通など。

このように私企業と公企業は、資本の出資者や目的の違いによって区分され、
社会や経済において異なる役割を担っています。
 株式会社-株式の発行

【株式会社】私企業の代表的なもので、株式を発行することにより、多くの人から資本を集めて経営される会社。
【株式】株式会社への出資を表す単位のこと。自由に売買することができる。

 

(1)株式とは:
株式は、株式会社が資金調達を目的に発行する証券で、会社の所有権の一部を表しています。
株を持っている人を「株主」と呼び、株主は会社の持ち主の一人となります。

(2)株式の発行:
企業が事業を拡大したり、新しいプロジェクトを進めたりするために資金が必要なとき、
銀行からの借入だけでなく、株式を発行して広く投資家から資金を集めることができます。

(3)株式発行の主なメリット:
①資金調達:
株式を発行することで、多くの投資家から資金を集めることができます。

②返済義務がない:
株式発行によって得た資金は、借入金とは異なり、原則として返済する必要がありません。

③経営安定:
多くの出資者(株主)を持つことで、会社の経営基盤を安定させることができます。

(4)株式発行に伴う責任や考慮事項:
①配当の支払い:
株主は配当を受け取る権利があります。
配当とは、企業が利益を上げた場合に株主に分配されるお金です。

②経営の透明性:
株式を発行すると、定期的に業績報告を行い、経営を透明にする必要があります。

③株主の影響力:
株主は総会での投票権を持ち、会社の重要な決定に影響を与えることがあります。
 株主の権利

【株主】会社に出資した代わりに株式を受け取った人のこと。
【配当】企業が株主に利益を分配すること。
【株主総会】株主によって組織され、株式会社の意思を決定する最高機関。

 

(1)株主の権利:
①議決権:
株主は、株主総会で会社の重要な事項について意見を述べたり、投票したりする権利があります。
これは会社の経営方針や役員の選任、会社の合併・解散などの重要事項に影響を与える可能性があります。
通常、議決権は持っている株式の数に比例します。

②配当請求権:
会社が利益を上げた場合、その利益の一部を株主に分配することがあります。
これを配当と言います。
株主は、保有する株式数に応じて配当を受け取る権利があります。

③残余財産分配請求権:
会社が解散した際には、全ての負債を返済した後に残る財産を株主に分配します。
このとき、株主はその残余財産を受け取る権利があります。

④新株引受権:
会社が新しく株式を発行するときに、既存の株主には優先的にその株式を購入できる権利があります。
これにより、株主は会社の所有割合が希薄化されるのを防ぐことができます。

これらの権利により、株主は株式会社の運営に参加したり、利益を享受したりすることができます。
 株式相場

【株式相場】証券取引所で、需要供給その他の要因により形成される株式の価格。
【証券取引所】株式や債券などの有価証券の売買を行うところ。

①例えば、A社が新発売した製品が爆発的に売れて大幅な黒字になった場合、
1株あたりの配当も増えることが予想されます。

②すると、株式市場においてA社の株を売ろうとする人よりも買おうとする人が多くなり、
その結果A社の株価は上昇します。

③また、逆にB社の製品に欠陥が見つかり社会的信用が落ちた場合、
売り上げの減少によって赤字に転落し配当が0円になることもあります。
このようなとき、B社の株を買おうという人よりも売ろうとする人が多くなり、株価は下落します。
 現代日本の企業-大企業と中小企業の割合
 
【中小企業】従業員数や資本金などが中規模以下の企業。
【大企業】中小企業の基準を超える企業。

  

(1)中小企業:
①特徴:
規模:
中小企業は、従業員数や資本金が比較的小さな企業を指します。
日本では、製造業では従業員300人以下、または資本金3億円以下、
商業・サービス業では従業員100人以下、または資本金5000万円以下などの基準があります。

経営の柔軟性:
中小企業は、経営判断を迅速に行うことができるため、市場の変化に柔軟に対応できることが多いです。

地域密着:
地域に根ざした企業が多く、地域の需要や特性に合わせた商品やサービスを提供することが得意です。
業種の多様性: 製造業からサービス業まで、さまざまな業種に分布し、
独自の技術やノウハウを持つ企業も多いです。

②課題:
資金調達の難しさ:
規模が小さいため、金融機関からの資金調達が難しいことがあります。

人材確保の難しさ:
人材の確保や育成が困難な場合があり、大企業に比べると賃金や福利厚生で劣ることが多いです。

(2)大企業:
①特徴:
規模:
大企業は、従業員数や資本金が中小企業よりも大きい企業を指します。
多くの大企業は国内外に広がる多くの拠点を持ち、大きな影響力を持っています。

資金力:
事業で得た利益を再投資したり、新たな事業を展開したりするための豊富な資金力があります。

ブランド力:
広く認知されたブランドや信頼性があり、多くの消費者や取引先から支持されています。

グローバル展開:
海外に進出し、多国籍企業として事業を展開することがよくあります。

②課題:
組織の硬直性:
大規模な組織では、意思決定に時間がかかることがあり、
市場の迅速な変化に対応しにくい場合があります。

社内コミュニケーションの複雑さ:
部署間のコミュニケーションや調整が難しいことがあります。

(3)中小企業と大企業の関係:
①中小企業と大企業は経済において互いに重要な役割を果たしています。
②中小企業は、大企業のサプライヤーとして製品部品を供給するなど、その活動を支える一方で、
大企業は中小企業にとって重要な顧客や技術支援の提供者となることがあります。
③また、中小企業の新しいアイデアや技術が、大企業との協力により幅広く展開されることもあります。
 [要点-世界の中の日本経済]

①各国が有利な条件で生産できる商品の生産に力を入れ、
互いに得意な商品を輸出し不得意な商品を輸入することを国際分業といいます。
他国との間で関税など自由な輸出入の妨げとなる仕組みをできるだけ減らし、
貿易を活性化しようとすることを貿易の自由化といいます。

②外国と貿易を行うときなどには、通貨どうしを交換することが必要になりますが、
通貨間の交換比率を為替相場といいます。
1ドル110円が100円になることを円高(円の価値が上がる)といい、輸出は減り、輸入は増えます。
逆に、1ドル110円が120円になることを円安(円の価値が下がる)といい、輸出は増え、輸入は減少します。

③日本は戦後、原材料を輸入して工業製品を輸出する加工貿易で貿易黒字を続けて来ました。
しかし、2008年に起こった世界金融危機以降の円高などによって、
日本企業は工場の海外移転を行い、これによって産業の空洞化が進みました。
この背景には、経済のグローバル化の進展で、多国籍企業の海外展開が加速していることがあげられます。
 グローバル化の中の日本企業
 
【多国籍企業】本拠のある国以外で生産やサービスを行う企業。



①グローバル化が進むにつれて、企業間の国際競争は激しさを増しています。

②海外の安い労働力と広大な市場を求めて工場の海外移転を行う企業が増え、
産業の空洞化という問題が起こっています。

③また、世界各地に現地籍の企業をつくって活動する多国籍企業も増えています。
 企業の社会的責任
 
【企業の社会的責任】企業が社会に対してさまざまな貢献をし、社会的責任を果たすこと。

①企業は社会に対して大きな影響を及ぼします。

②公害は企業活動が地域社会にあたえる負の側面ですが、
教育、文化、環境保全などにおいて積極的に社会貢献を行っている企業もあります。

③現代の企業は、利潤のための生産活動だけでなく、
人々の生活を向上させるための社会的責任を負っています。

 [要点-労働者と権利]

①1日8時間労働など、労働時間・賃金などの労働条件の最低基準を定めた労働基準法

②団結権、団体交渉権、団体行動権の労働三権を定めた労働組合法

③労働争議の予防や早期解決を図るために定められた労働関係調整法

以上の3つをまとめて労働三法という。

(1)労働基本権:
団結権: 労働者が労働組合を結成し、加入する権利。
団体交渉権: 労働組合を通じて、待遇改善や労働条件について使用者と交渉する権利。
団体行動権: ストライキなどの集団行動を行う権利。

(2)労働条件の保護:
最低賃金:
労働者が最低限受け取るべき賃金が定められており、これを下回る賃金で働かせることはできません。

労働時間:
労働時間は法律で制限されており、原則として1日8時間、
週40時間を超えて働かせてはならないとされています。
休憩・休日: 労働者は適切な休憩時間と休日を保障されています。

安全で健康的な労働環境:
労働基準法や労働安全衛生法によって、職場の安全と健康が確保されるように義務付けられています。

均等な待遇:
性別や年齢、その他の理由によって不当に差別されない権利が保障されています。

解雇の規制:
労働契約の不当な解約は認められず、解雇には正当な理由が必要です。

これらの権利は、労働者が安心して働ける環境を保障するために不可欠です。
そして、これらの権利が守られているかどうかは、
労働基準監督署や裁判所によって監視されています。
 労働-労働者の権利

【労働組合】労働者が、労働条件の改善や生活の安定を守ることを目的に結成した組織。
【ワイマール憲法】ワイマールで開かれた国民議会で制定されたドイツ共和国憲法。

①資本主義経済では、労働力も商品として売買され、労働者は企業に労働力を売り賃金を手に入れます。

②資本主義が成立した初期のころは、労働者は使用者に対して弱く不安定な立場に置かれていました。
「売り上げが減ったので来月から給料は半分にする。」と言われたら、
これに対抗することができませんでした。
文句を言えば解雇されるからです。

③そこで、労働者が団結して使用者と交渉しようという動きが出てきましたが、
資本主義の初期のころは、こうした労働組合を結成することそのものが違法とされることがありました。

④第一次世界大戦後、ドイツではワイマール憲法が制定されて社会権が定められ、
労働者の権利が認められました。

⑤日本国憲法も、
「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、
これを保障する」(28条)と労働基本権を認めています。

 労働三法
 
【労働三法】労働者を守るための基本的な法律。

 

労働者の権利を守るために、

①労働基準法(労働条件の最低基準を定めている)、

②労働組合法(団結権・団体交渉権・団体行動権、不当労働行為の禁止を定めている)、

③労働関係調整法(争議の予防とその解決について定めている)の労働三法が定められています。
 労働基準法

【労働基準法】労働条件に関する「最低限の基準」を定めた法律。

 

①労働条件の明示:
使用者(雇用主)は労働契約を締結する際に、労働者に対して賃金、労働時間、
その他の労働条件を明確に示さなければなりません。

②労働時間:
法定労働時間は原則として1日8時間、週40時間です。
これを超える労働は原則として許されておらず、時間外労働(残業)を行う場合は、
労使間で協定を結び、割増賃金を支払う必要があります。

③休憩・休日:
休憩時間は労働時間が6時間を超える場合には少なくとも45分、
8時間を超える場合には少なくとも1時間を与えなければなりません。
毎週少なくとも1回の休日を与えることが法律で定められています。

④賃金:
賃金は通貨で支払わなければならず、毎月1回以上、一定の期日に支払われる必要があります。
また、最低賃金を下回る賃金は法律で禁止されています。

⑤年次有給休暇:
労働者が一定期間働いた場合(通常は6ヶ月)、年次有給休暇を取得する権利があります。
これにより、休んでもその日に対する賃金が保障されます。

⑥解雇規制:
労働者を解雇する場合には、少なくとも30日前に解雇予告をするか、
30日分の平均賃金を解雇予告手当として支払わなければなりません。

⑦労働環境の安全と健康:
労働基準法は労働者の安全と健康を守るため、職場環境の基準を設けています。
これに関連して、労働安全衛生法も存在します。

労働基準法は、働く人々が適正な環境で安心して働けるように設けられている法律であり、
これを守ることは雇用主の義務です。
 過労死など

【ワーク・ライフ・バランス】「仕事と生活の調和」と訳される。仕事と生活を両立させるための考え方。
【働き方改革】2016年9月に安倍晋三内間が掲げた、労働者の働き方を見直す改革。

 

①近年、年間労働時間はしだいに短くなり、週休2日制を採用する企業も増えていますが、
残業時間は依然として多く、
欧米諸国と比べたときの日本の就業者1人あたりの労働時間が長いのが現状です。

②長時間勤務によって仕事が過密になり、過労が原因の過労死は大きな社会問題になっています。

③労働時間を削減し、仕事と生活が調和したワーク・ライフ・バランスをめざしていかなければなりません。

 労働のあり方の変化-終身雇用の変化

【雇用】使用者が労働者を雇い、労働させること。
【終身雇用】労働者を定年まで雇用すること。
【年功序列】能力や業績ではなく年齢や勤続年数に応じて賃金が上がっていくこと。
【成果主義】能力などに応じて賃金が支払われること。

 

①かつて、日本の企業では定年までの雇用を保障する終身雇用や勤続年数が長くなるにつれて
賃金が上がる年功賃金の制度をとってきました。

②終身雇用と年功賃金は、将来の収入の見通しを持つことができるので、
働く人に安心感を与え、企業に対する忠誠心をはぐくみました。

③しかし、1990年代にバブル経済が崩壊し、
長期の不況を乗り越えるために企業はリストラなどの合理化をすすめました。

④こうしたなかで、終身雇用と年功賃金がゆらぎはじめました。
年齢や働いた年数に関係なく仕事の能力や成果などに応じて
賃金が決定される制度を採用する企業が増えていきました。
 非正規労働者の増加

【正社員】期間を定めずに雇用されている正規労働者のこと。
【非正規労働者】時間を定めて働くパートタイム労働者や、
登録した派遣会社からほかの会社に派遣される派遣労働者など、正社員以外の労働者の総称。
【セーフティネット】予測できない災害や事故、あるいは失業などから国民を守るための制度。

 

①バブル経済崩壊後の長期にわたる不況の中で、企業は生き残りを図るために、
中高年社員の希望退職を募るなどリストラをすすめたり、
新規の採用をおさえたりして正社員の削減を行きました。

②そのかわりに、賃金が低いパート・アルバイト・派遣労働者・契約労働者などの
非正規労働者を増やしていきました。

③企業にとっては非正規労働者の人件費は正社員の半分以下であり、かつ短期雇用であるので、
好況のときは人員を増やし不況のときは人員を減らすことができるというメリットがあります。

④しかし、非正規労働者にとっては低賃金でしかも不安定な立場に置かれるという問題があります。
2008年の世界金融危機の際には、派遣・契約労働者が雇用を打ち切られて失業し社会問題になりました。

⑤非正規労働者の正規労働者化をはかるとともに、
雇用保険や就職相談、職業訓練などのセーフティネットを整備することが必要です。
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